I love you に代わる言葉
ボクは布団から皿を取り出した。粉々になったオルゴールを見て、心が痛む。
おねーさんはすぐに戻ってきた。手には小さな缶の入れ物が握られており、ボクの傍に来るとその蓋を開ける。
「これ、凄く効くんですよ。……手を」
恥ずかしかったけどボクは黙って手を出した。思いっ切り手を握らない所とか、遠慮がちに薬を塗る所とか、ぎこちなさが伝わって妙にそわそわした。
おねーさんは何も言わなかった。何も聞かなかった。オルゴールが何処にあるのか、ベッドの上にある本は誰が置いたのか、どういう経緯で割れたのか、色々疑問は尽きない筈なのに。それとも、それらの繋がりで状況を察したのだろうか。シンから与えられた理由は、全く意味を成さなかった。
「……ゴメン」
薬を塗り終え離された手をゆっくりと下ろすと、ボクは状況説明をするでも礼を言うでもなく、再度謝罪を述べた。そして、テーブルに置いていた皿を手に持ち、おねーさんに見せた。申し訳なさに顔を歪めれば、おねーさんは優しく、
「日生くん、いいんです。大丈夫ですから」
そう言った。それを聞いて、ボクは何故か苛立った。
「何が大丈夫なのさ……何で何も思わないのさ……! これ、大事なものだったんじゃないのか……!?」
ボクはやや強い口調で言葉を放った。
おねーさんが言う「大丈夫」の意味が解らない。いいんですって何だよ……いいわけないだろ。どんな風にどれだけ大事にしてたか知らないけどさ、いいわけない。
ボクは矛盾していた。何か反応を見せられたくないくせに、本当に見せないと苛立ってくる。何か思わない筈はないのに。
おねーさんはすぐに戻ってきた。手には小さな缶の入れ物が握られており、ボクの傍に来るとその蓋を開ける。
「これ、凄く効くんですよ。……手を」
恥ずかしかったけどボクは黙って手を出した。思いっ切り手を握らない所とか、遠慮がちに薬を塗る所とか、ぎこちなさが伝わって妙にそわそわした。
おねーさんは何も言わなかった。何も聞かなかった。オルゴールが何処にあるのか、ベッドの上にある本は誰が置いたのか、どういう経緯で割れたのか、色々疑問は尽きない筈なのに。それとも、それらの繋がりで状況を察したのだろうか。シンから与えられた理由は、全く意味を成さなかった。
「……ゴメン」
薬を塗り終え離された手をゆっくりと下ろすと、ボクは状況説明をするでも礼を言うでもなく、再度謝罪を述べた。そして、テーブルに置いていた皿を手に持ち、おねーさんに見せた。申し訳なさに顔を歪めれば、おねーさんは優しく、
「日生くん、いいんです。大丈夫ですから」
そう言った。それを聞いて、ボクは何故か苛立った。
「何が大丈夫なのさ……何で何も思わないのさ……! これ、大事なものだったんじゃないのか……!?」
ボクはやや強い口調で言葉を放った。
おねーさんが言う「大丈夫」の意味が解らない。いいんですって何だよ……いいわけないだろ。どんな風にどれだけ大事にしてたか知らないけどさ、いいわけない。
ボクは矛盾していた。何か反応を見せられたくないくせに、本当に見せないと苛立ってくる。何か思わない筈はないのに。