I love you に代わる言葉
15話 気高き姿~ケダカ キ スガタ~
「――ちょっと出掛けてくるよ」
立ち上がって、シンにそれだけを告げる。雑誌を読んでいるシンは、顔を上げて此方を見た。
「何処にだ?」
特に表情を変えず問い掛けてくるシンを一瞥し、
「ちょっとね」
わざと意地悪く答えて扉に向かえば、背後で雑誌を閉じる音と、シンが立ち上がる気配が背中に届いた。
今日ボクは、街へ繰り出した。目的は一つ。
行き先を告げずつかつかと歩くボクの後ろを、何故かシンはついてきた。家を出てすぐの所で、ついてくるなよ、と若干刺々しい物言いで一蹴したが、シンは「好奇心には勝てなくてな」と即答し、動じる事はなかった。ボクは何も言わず、ふいと顔を逸らして再度歩みを進める。
ボク達の間にある空気が、こうしてやや不穏になったのは、昨晩の出来事が理由だ。シンの帰宅後の、ボク達の会話が、引き金となっている――……。
立ち上がって、シンにそれだけを告げる。雑誌を読んでいるシンは、顔を上げて此方を見た。
「何処にだ?」
特に表情を変えず問い掛けてくるシンを一瞥し、
「ちょっとね」
わざと意地悪く答えて扉に向かえば、背後で雑誌を閉じる音と、シンが立ち上がる気配が背中に届いた。
今日ボクは、街へ繰り出した。目的は一つ。
行き先を告げずつかつかと歩くボクの後ろを、何故かシンはついてきた。家を出てすぐの所で、ついてくるなよ、と若干刺々しい物言いで一蹴したが、シンは「好奇心には勝てなくてな」と即答し、動じる事はなかった。ボクは何も言わず、ふいと顔を逸らして再度歩みを進める。
ボク達の間にある空気が、こうしてやや不穏になったのは、昨晩の出来事が理由だ。シンの帰宅後の、ボク達の会話が、引き金となっている――……。