I love you に代わる言葉
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それからボク等は、先刻家を出るまで、必要最低限の会話しかしなかった。苛立ちが消え去っても、落ち着きを取り戻しても、素直に納得出来る代物でもない。そして何処までも落ち着いていて聡明であるこいつに、何かを言えば言う程自分が子供に思えてきて、話すのが嫌になったんだ。そう思う事こそ、多分子供なんだろうけど。だけど難しい。今日子供である事に気付いて、明日大人になれるものでもない。気付いて努力するしか出来ないんだ。
ボクはどんよりとした空を見上げた。今にも雨が、降りそうだ。一応傘を持ってきたけど、使わない今は邪魔でしかない。
ボクは正面を見据える。けど、何処に向かって歩けばいいんだろう。何処に行けば目的のものに在り付けるのか見当もつかない。こんな目的を持って街に繰り出すなど、生きてきて初めての事だ。
行き先に迷いながらひたすら無言で歩けば、後ろを無言でついてくるシン。何処までも口を噤むつもりなのか。流石に此処まで来ると、何か言えよと思ってくる。それでもボクから話しかける事も振り返る事も何だか負けた気がして、意地を張っているだけだと知りながらもボクから行動しなかった。
それからボク等は、先刻家を出るまで、必要最低限の会話しかしなかった。苛立ちが消え去っても、落ち着きを取り戻しても、素直に納得出来る代物でもない。そして何処までも落ち着いていて聡明であるこいつに、何かを言えば言う程自分が子供に思えてきて、話すのが嫌になったんだ。そう思う事こそ、多分子供なんだろうけど。だけど難しい。今日子供である事に気付いて、明日大人になれるものでもない。気付いて努力するしか出来ないんだ。
ボクはどんよりとした空を見上げた。今にも雨が、降りそうだ。一応傘を持ってきたけど、使わない今は邪魔でしかない。
ボクは正面を見据える。けど、何処に向かって歩けばいいんだろう。何処に行けば目的のものに在り付けるのか見当もつかない。こんな目的を持って街に繰り出すなど、生きてきて初めての事だ。
行き先に迷いながらひたすら無言で歩けば、後ろを無言でついてくるシン。何処までも口を噤むつもりなのか。流石に此処まで来ると、何か言えよと思ってくる。それでもボクから話しかける事も振り返る事も何だか負けた気がして、意地を張っているだけだと知りながらもボクから行動しなかった。