I love you に代わる言葉
「……ていうか、何しに来るのさ」
「さあな。日生に会いたいんじゃないか?」
 シンはそう言ってくくっと笑う。ボクは思い切りシンを睨みつけた。
「口が減らないね、アンタ」
「一緒に居過ぎて誰かさんに似たのかもな」
 シンは可笑しそうに笑う。ボクは溜息をついた。もう何も言うまい。こいつはボクが睨もうが悪態つこうが殺気を放とうが動じないからね。
「――まぁ、今井に返事しておくぜ?」
 シンはそう言ってこの場でケータイを弄り出し、今井に連絡をしていた。その動作から目を逸らして、また窓外を見下ろしていると、数秒後、家のチャイムが鳴る。誰だ、と確認するようにシンを見れば、シンも「誰だ?」と小さく声に出した。いや、ボクが知る訳ないだろ。
「……あ! 真、今井くんが来たみたい」
 キッチンに居たおねーさんがリビングに設置されているモニターを確認したらしく、訪問者の名をシンに伝える。
「……早過ぎねぇか?」
 流石にシンも、今井の行動には呆気に取られたようで、苦笑を漏らしている。
「どうせその辺に居たんだろ。それか、最初から来る気満々で既にこっちに向かってたか。まぁどっちかだろうね」
 今井はやる事が違うな、とシンは苦笑しながら呟き、玄関へ下りていった。



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