I love you に代わる言葉
「……傘、いいよ。もうこんなに濡れてるしね」
ずっと傘を差し続けてくれているおねーさんにそう言うと、
「日生くんの為じゃないですよ。私が、日生くんが濡れている所を見たくないだけですから」
……自己中心的な、理由です。
という答えが、返ってきた。はは……優しい自己中だね。
ボク等の間にある適度な距離と、二人を雨から守るには小さ過ぎる傘の所為で、ボクの右半身が濡れてしまっているけど、そんな事はどうでも良かった。左にある温かみが、全てを消し去ってくれた。多分、おねーさんも左半身が濡れてしまっているだろう。何も出来やしない自分の不甲斐なさを忌々しく感じた。
隣に座してから、おねーさんは何も言わなかった。ただ、黙ってそこに居るだけ。それが心地良いのか緊張感に震えるのか自分でもよく解らなくて、気まずさを紛らわせる為、ボクはタオルを頭から被り、視界におねーさんを映さないようにした。なのに、温かい気配だけはずっと残っていて、少しくすぐったい気持ちになった。
ずっと傘を差し続けてくれているおねーさんにそう言うと、
「日生くんの為じゃないですよ。私が、日生くんが濡れている所を見たくないだけですから」
……自己中心的な、理由です。
という答えが、返ってきた。はは……優しい自己中だね。
ボク等の間にある適度な距離と、二人を雨から守るには小さ過ぎる傘の所為で、ボクの右半身が濡れてしまっているけど、そんな事はどうでも良かった。左にある温かみが、全てを消し去ってくれた。多分、おねーさんも左半身が濡れてしまっているだろう。何も出来やしない自分の不甲斐なさを忌々しく感じた。
隣に座してから、おねーさんは何も言わなかった。ただ、黙ってそこに居るだけ。それが心地良いのか緊張感に震えるのか自分でもよく解らなくて、気まずさを紛らわせる為、ボクはタオルを頭から被り、視界におねーさんを映さないようにした。なのに、温かい気配だけはずっと残っていて、少しくすぐったい気持ちになった。