I love you に代わる言葉
*
それから、どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。雨は未だ降り続けていたけれど、霧雨だった。
堰が切れた事で、先刻より幾分か、気分はすっきりとしていた。冷静さを失った頭も、今では正常そうだ。そうなると、みんなに申し訳無い事をしたという自覚まで芽生えてくる。
ボクは顔を上げ、頭から肩にかけて覆っていたタオルを引っ掴み膝元に置くと、隣で傘を差し続けるおねーさんに顔を向けた。目が、合う。冷静な頭で先刻の出来事を思い返すと、ただただ醜態しか晒していないような気がして、羞恥心を感じる。決まり悪く視線を逸らせば、おねーさんはふふっと笑った。
「落ち着きましたか?」
そんな優しい言葉がボクに掛けられる。ボクは気恥ずかしさに視線を逸らしたままだったけど、何とかゆっくり、言葉を紡いでいく。
「……あのさ……その……、色々、アリガト」
伝えれば、おねーさんの嬉しそうに微笑む声がそっと漏れた。
「何で、ここが分かったの」
「何となくです。飛び出して公園に向かう、というのが定番かなって」
おねーさんはそう言って悪戯な笑みを浮かべた。ボクはありきたりな思考をしているらしい。そう……と短く返事をすれば、おねーさんはふふっと笑う。
「……というのもありますけど、単にこの辺は行く所がありませんし、私も此処を選ぶと思いますから」
それを聞いて、妙に納得した。
見付けてくれてありがとう、そんな想いが、心の中に浮かんだけど、その一言は流石に言えなかった。
それから、どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。雨は未だ降り続けていたけれど、霧雨だった。
堰が切れた事で、先刻より幾分か、気分はすっきりとしていた。冷静さを失った頭も、今では正常そうだ。そうなると、みんなに申し訳無い事をしたという自覚まで芽生えてくる。
ボクは顔を上げ、頭から肩にかけて覆っていたタオルを引っ掴み膝元に置くと、隣で傘を差し続けるおねーさんに顔を向けた。目が、合う。冷静な頭で先刻の出来事を思い返すと、ただただ醜態しか晒していないような気がして、羞恥心を感じる。決まり悪く視線を逸らせば、おねーさんはふふっと笑った。
「落ち着きましたか?」
そんな優しい言葉がボクに掛けられる。ボクは気恥ずかしさに視線を逸らしたままだったけど、何とかゆっくり、言葉を紡いでいく。
「……あのさ……その……、色々、アリガト」
伝えれば、おねーさんの嬉しそうに微笑む声がそっと漏れた。
「何で、ここが分かったの」
「何となくです。飛び出して公園に向かう、というのが定番かなって」
おねーさんはそう言って悪戯な笑みを浮かべた。ボクはありきたりな思考をしているらしい。そう……と短く返事をすれば、おねーさんはふふっと笑う。
「……というのもありますけど、単にこの辺は行く所がありませんし、私も此処を選ぶと思いますから」
それを聞いて、妙に納得した。
見付けてくれてありがとう、そんな想いが、心の中に浮かんだけど、その一言は流石に言えなかった。