I love you に代わる言葉
04話 暗闇と光~クラヤミ ト ヒカリ~
「――で、あんた下の名前は?」
太陽が高く昇った晴れ渡る午後。初夏だというのに今日は真夏の暑さを感じる。それでも、館内に居ると冷房が効いているからボクでさえ流石にありがたみを感じた。
昨日に引き続き、今日も学校をサボって煌宝へ来ていた。今日も出勤する社員がおねーさんとオバサンだと帰り際に聞かされた事と、「いつでも遊びに来な!」という爽やかなオバサンの声に(サボってまで来てもいいって意味じゃないと思うけど)見送られたからだ。ついでにバシバシと無駄に叩くオバサン特有の動作も一緒に。
学校に居るより、家に居るよりもまぁ、退屈はしない。だからこうして今、此処に居る。
ボクはズボンのポケットに手を突っ込んだ姿勢で、カウンターに寄り掛かって接客中のおねーさんをオバサンと一緒にぼんやりと眺めていた。
その時だった。不意に口を開きオバサンが尋ねてきたのは。
ピクリと眉が動いた。
目線だけを動かしてオバサンを見ると、先刻までおねーさんに向けられていた視線はこちらに投げ掛けられている。ボクはオバサンから視線を外し、不機嫌な声で言った。
「何で教えなきゃいけないのさ。ボクは自分の名前が嫌いだって言っただろ」
「だけど名前を聞いて教えて貰えないなんて体験、あたしも初めてだからさぁ。そうそう断られるもんじゃないからねぇ。拒否されればされる程好奇心が疼くよ」
何とも呆れる言葉だ。そんな視線を一瞬送る。
「初めての体験が出来てよかったんじゃない?」
小馬鹿にした態度と笑みを見せてそう言ったけど、オバサンはハハハと笑うだけだ。
「あんたほんと生意気だねぇ」
言っている内容とは裏腹に、オバサンは楽しそうな笑みを浮かべるだけだった。言葉を別段不愉快に感じなかったけど、その笑顔が何だか癪で、目を細めて軽く睨んだ。
太陽が高く昇った晴れ渡る午後。初夏だというのに今日は真夏の暑さを感じる。それでも、館内に居ると冷房が効いているからボクでさえ流石にありがたみを感じた。
昨日に引き続き、今日も学校をサボって煌宝へ来ていた。今日も出勤する社員がおねーさんとオバサンだと帰り際に聞かされた事と、「いつでも遊びに来な!」という爽やかなオバサンの声に(サボってまで来てもいいって意味じゃないと思うけど)見送られたからだ。ついでにバシバシと無駄に叩くオバサン特有の動作も一緒に。
学校に居るより、家に居るよりもまぁ、退屈はしない。だからこうして今、此処に居る。
ボクはズボンのポケットに手を突っ込んだ姿勢で、カウンターに寄り掛かって接客中のおねーさんをオバサンと一緒にぼんやりと眺めていた。
その時だった。不意に口を開きオバサンが尋ねてきたのは。
ピクリと眉が動いた。
目線だけを動かしてオバサンを見ると、先刻までおねーさんに向けられていた視線はこちらに投げ掛けられている。ボクはオバサンから視線を外し、不機嫌な声で言った。
「何で教えなきゃいけないのさ。ボクは自分の名前が嫌いだって言っただろ」
「だけど名前を聞いて教えて貰えないなんて体験、あたしも初めてだからさぁ。そうそう断られるもんじゃないからねぇ。拒否されればされる程好奇心が疼くよ」
何とも呆れる言葉だ。そんな視線を一瞬送る。
「初めての体験が出来てよかったんじゃない?」
小馬鹿にした態度と笑みを見せてそう言ったけど、オバサンはハハハと笑うだけだ。
「あんたほんと生意気だねぇ」
言っている内容とは裏腹に、オバサンは楽しそうな笑みを浮かべるだけだった。言葉を別段不愉快に感じなかったけど、その笑顔が何だか癪で、目を細めて軽く睨んだ。