I love you に代わる言葉

「……それ……その、……」
　何とか謝罪したいが、こうして改まると言葉は素直に口をついてはくれなくて、シンのように恰好がつかない自分が幼稚に思えた。
「どうした？」
　言葉を濁らせたまま先を続けないボクに、シンは瞳を丸くさせて尋ねてきた。口唇を薄く開いては閉じる。それを何度か繰り返し、漸くボクは言葉を放った。
「……悪かったよ、それ……」
　謝罪の後に小さく、頬……と呟けば、シンは苦笑混じりに、あぁ、と呟いた。
「別にいいさ。しょうがねぇよ。それに俺も、殴られる覚悟で言ったからな」
「けど、さ……」
「生まれて初めて殴られたが、痛ぇもんだな。けど、咄嗟に少し避けたお陰でこめかみに近い所に当たったんだ。だからそこまで腫れてねぇし、一応冷やしたし、大丈夫だ」
　そういう問題じゃないと思うけど……それにしても、殴られたのにこの穏やかな表情は何だ。頬じゃないならいいって訳じゃないのに。