I love you に代わる言葉
「ど、どうしたんですか?……急に」
若干オロオロした様子で尋ねてくるおねーさんに、ボクは「そう思ったから」とだけ言った。おねーさんにとって不可解でしかない言葉は、結果おねーさんの羞恥心を和らげたらしく、ふふっと突然笑い出した。
「何だか日生くんじゃないみたい。そんな風に笑ったところを見るのも初めてですし」
おねーさんは嬉しそうに言う。先刻泣いていたのが嘘のように、心底笑っている。笑わせる目的で言った訳じゃなかったけど、それを見てボクも嬉しく思う。そうだっけ? と適当な事を言った後、
「命日、来月なんだよね? 墓参り、ボクも一緒に行っていい?」
ボクは静かに問うた。おねーさんはとても驚いていた。けど、すぐに柔らかく笑んだ。
「もちろん。一緒に行きましょう。……嬉しいです」
語尾が少しだけ、涙声に聞こえた。おねーさんの瞳はまた少し潤んでいて、この瞬間のおねーさんはとても儚く見えた。けれどももう、涙を流す事はなかった。
「用はそれだけ。じゃ」
そう言ってボクは、手をひらひらさせた。シンの部屋へと、とても軽い足取りで向かう。
墓参りの日が、晴れる事を、願いながら。
若干オロオロした様子で尋ねてくるおねーさんに、ボクは「そう思ったから」とだけ言った。おねーさんにとって不可解でしかない言葉は、結果おねーさんの羞恥心を和らげたらしく、ふふっと突然笑い出した。
「何だか日生くんじゃないみたい。そんな風に笑ったところを見るのも初めてですし」
おねーさんは嬉しそうに言う。先刻泣いていたのが嘘のように、心底笑っている。笑わせる目的で言った訳じゃなかったけど、それを見てボクも嬉しく思う。そうだっけ? と適当な事を言った後、
「命日、来月なんだよね? 墓参り、ボクも一緒に行っていい?」
ボクは静かに問うた。おねーさんはとても驚いていた。けど、すぐに柔らかく笑んだ。
「もちろん。一緒に行きましょう。……嬉しいです」
語尾が少しだけ、涙声に聞こえた。おねーさんの瞳はまた少し潤んでいて、この瞬間のおねーさんはとても儚く見えた。けれどももう、涙を流す事はなかった。
「用はそれだけ。じゃ」
そう言ってボクは、手をひらひらさせた。シンの部屋へと、とても軽い足取りで向かう。
墓参りの日が、晴れる事を、願いながら。