I love you に代わる言葉


 目が覚めると朝だった。いや、実際は朝かどうか解らない。ただ、カーテンの隙間から漏れる光が、朝だとボクに感じさせた。ムクッと上半身を起こし隣を確認すると、シンはまだ寝ていた。寒いのか布団に包まっていて、見えているのは目元だけだ。
 時間を確認すると、朝の十時だった。……十時? ボクはまたシンを見た。こいつホントにサボったのか……。休日だと錯覚を起こしてしまいそうな程普通に寝ている。絶対連絡入れてないだろこいつ(まぁボクもだけど)。
 カーテンを開いて天気を確認する。生憎と雨みたいだ。小雨がパラパラと地面を叩き濡らしている様を眺めながら、××県では晴れていて欲しいと願うが、隣だから天気が大きく異なる事はないだろう。すると××県も似たようなものか。
 ××県へ向かうバスは、十三時に市内にあるバスセンターから発車する。バスセンターまでは電車で二十分程で着く。旅行じゃないから荷物はいらないし、支度はすぐに済む。
 そこまで思考すると、ボクは出掛ける準備に取り掛かった。
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