I love you に代わる言葉
 ボクも思わず笑みが零れる。はは、思ったよりも傷付かないボクが居て、それはこう言われるのが予め解っていたかの様だ。いや、あまりにも直球でいっそ清々しいのかも知れない。

 ――こんな親不孝者、あたしだっていらない……っ!

 さっきから泣き叫んでいる女は、男の怒号と非情な言葉で錯乱している訳じゃなさそうだ。ああ、自分も要らないけど男が引き取ってくれないから悲しんでいるのか。ふーん……。

 ――せめて女が生まれてたら可愛がってやれたのによ。
 ――あたしだって女の子が良かった……! 男の子なんて欲しくなかったのに……せめてあたし達の『ヒカリ』になってくれたらと思って名付けたのに……ヒカリどころか闇にしかならない……っ!

 はは……ははは……。はははは。
 あんまり可笑しくて涙も出ないよ。そんなものもう忘れたさ。
「!」
 背後に気配を感じて振り向くと、そこにはまた、幼い『ボク』が居た。
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