I love you に代わる言葉
 ボクが驚いたまま固まっていると、おねーさんは静かに語り始めた。
「『日生くんは、私にとって光そのもの』。……これを、日生くんに伝えたかった。実はこれが……『今度話す』と言った事です。あの時勢いに任せて言ってしまったら……私の気持ちを伝える事、告白と、同じですから。あの時ではダメでした、今日でないと。だから、あの時思い留まって言うのをやめたんです」
 そこで一旦言葉を区切ると、おねーさんはボクに笑みを向けた。そして、恥ずかしそうに一度目を伏せ、また、ボクを見る。
「私も……日生くんが好きです。大好きです」
 真っ直ぐにおねーさんは告げてきた。けど、言い終わると酷く恥ずかしそうに顔を俯ける。おねーさんの想いが自分と同じである事を知り、ボクはただただ驚いて言葉を失う。
「――でも、実は……私の方が、本当は先に想いを伝えていたんですよ?」
「え?……」
 恥ずかしそうに、けれど何処か子供のような悪戯な笑みを浮かべて、おねーさんは思いもよらぬ事を言う。ボクはこれまでの事を反芻するが、それらしい言葉など見付けられなかった。今、頭がいっぱいいっぱいだからかも知れないけど、冷静になれても見付からない気がする。
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