I love you に代わる言葉
「おっと、そうだ。」
 シンは突然何かを思い出し、むくっと上体を起こすと、テーブル上に置かれている小さな小皿に手を伸ばした。その中に入っているものを手に取ると、
「――これ、日生が持ってろ」
 そう言って、ボクに向かって左腕を伸ばす。パッと開かれた手の平に乗っかっている『これ』とは、シンがいつも付けていたピアスだった。……いや、持ってろと言われても、ボクはピアスの穴開いてないんだけど……開けろという事か? しかも三つも?……いや、持ってろって事は、付けなくてもいいからって事なのか?
「ああ、消毒してあるから大丈夫だ」
 受け取らないボクの心情をどう解釈したのかは知らないが、そういう問題じゃないと思うけど。
「べつにいらない」
 そう言うと、シンは一度手を引っ込めた。そしてピアスをとても穏やかな目で見つめる。
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