I love you に代わる言葉
「このピアス、謙也さんに貰ったものなんだ。謙也さんが右耳に付けてたものだ。小学生の俺は、それが何だかカッコ良く見えてな、俺も付けたいと言った事がある。欲しいって意味で言った訳じゃねぇんだが、謙也さんは『将来付けろ』って言ってこれを俺にくれたんだ。謙也さんと同じ右耳に付けると、謙也さんの影をねーちゃんに見せるみたいで躊躇われたが、かと言って、付けろと言われたのに後生大事に仕舞い込むのも謙也さんに申し訳無いからな。だから俺は左耳に付けてたんだ」
「……へぇ」
「付けなくてもいいから持ってろよ。日生の手にあるのが一番いい」
シンはそう言うが、ボクは受け取るのを躊躇った。シンの思い出は、シン自身が大事にしていた方がいいのではと考えたからだ。けどそんなボクの想いはシンにはお見通しらしく、くくっと笑われる。
「ねーちゃんも決別したんだ。謙也さんの影を残すより、思い出としてこれからは仕舞っておくべきだ。俺はもういい。日生が持っててやれ。謙也さんの為にも、ねーちゃんの為にも」
そう言って、シンはもう一度ピアスを差し出してきた。ボクはそれを暫くじっと眺めた後、チラッとシンを見る。シンのすっきりとした笑みを見て、ボクはまたピアスに視線を落とした。そして、ゆっくりと右手でそれを受け取る。
――まあ、悪くはない。
ケンヤ。此処にアンタを、感じてやろう。
そう心でケンヤに語り掛け、ボクはピアスをぐっと握った。そんなボクを見て、シンが満足そうにフッと声を漏らした。
「――そういや、何か食わなくていいのか? 何も食ってないんだろ?」
そう言われて、ああそうだったと思い出す。しかし、今日は色んな事があり過ぎて、空腹感を感じてはいるものの、食物が喉を通る気がしなかった。それでも少しは腹を満たさないと気分が悪いところまで到達していて、ボクは花恋さんの所へ向かう事にした。丁度、用事もあったし。
いつも石を入れている白い箱に、たった今貰ったピアスを入れる。そしてボクは立ち上がった。
「ちょっとおねーさんの所に行ってくるよ」
「あぁそうしろ。――俺は寝る」
「そ。オヤスミ」
そう言って部屋を出ようとすると、背後から、
「俺が寝た後イチャつくなよ」
と言われ、キッとシンを睨み付けた。そんな事する訳ないだろ!! とボクは怒鳴ると、深夜であるにも関わらず、扉をバンッと勢いよく閉めてやった。
「……へぇ」
「付けなくてもいいから持ってろよ。日生の手にあるのが一番いい」
シンはそう言うが、ボクは受け取るのを躊躇った。シンの思い出は、シン自身が大事にしていた方がいいのではと考えたからだ。けどそんなボクの想いはシンにはお見通しらしく、くくっと笑われる。
「ねーちゃんも決別したんだ。謙也さんの影を残すより、思い出としてこれからは仕舞っておくべきだ。俺はもういい。日生が持っててやれ。謙也さんの為にも、ねーちゃんの為にも」
そう言って、シンはもう一度ピアスを差し出してきた。ボクはそれを暫くじっと眺めた後、チラッとシンを見る。シンのすっきりとした笑みを見て、ボクはまたピアスに視線を落とした。そして、ゆっくりと右手でそれを受け取る。
――まあ、悪くはない。
ケンヤ。此処にアンタを、感じてやろう。
そう心でケンヤに語り掛け、ボクはピアスをぐっと握った。そんなボクを見て、シンが満足そうにフッと声を漏らした。
「――そういや、何か食わなくていいのか? 何も食ってないんだろ?」
そう言われて、ああそうだったと思い出す。しかし、今日は色んな事があり過ぎて、空腹感を感じてはいるものの、食物が喉を通る気がしなかった。それでも少しは腹を満たさないと気分が悪いところまで到達していて、ボクは花恋さんの所へ向かう事にした。丁度、用事もあったし。
いつも石を入れている白い箱に、たった今貰ったピアスを入れる。そしてボクは立ち上がった。
「ちょっとおねーさんの所に行ってくるよ」
「あぁそうしろ。――俺は寝る」
「そ。オヤスミ」
そう言って部屋を出ようとすると、背後から、
「俺が寝た後イチャつくなよ」
と言われ、キッとシンを睨み付けた。そんな事する訳ないだろ!! とボクは怒鳴ると、深夜であるにも関わらず、扉をバンッと勢いよく閉めてやった。