I love you に代わる言葉
*
それから花恋さんの部屋に向かおうとしたが、彼女の方が慌てた様子でこちらに向かってきた。それに驚いて、どうしたの? と問えば、花恋さんはあれ? と拍子抜けした様子できょとんとして見せた。
「あ、いえ……大きな音がしたから……何かあったのかなって……」
それを聞いて、あぁ、と小さな声をボクは漏らした。
「何でもないよ。シンがまたバカな事言うからさ。それにわざと大袈裟に怒って見せただけ」
「……バカなこと?」
瞳を真ん丸にして尋ねる花恋さんを見て、先刻のシンの発言など急激にどうでもよくなる。ボクはふっと笑みを零し、
「花恋さんは気にしなくていいよ」
とだけ言っておいた。ボクの笑みやいつも通りの対応を見て安心したのか、花恋さんはそれ以上追求はして来ず、ただ安堵の笑みを零した。
「それよりさ、便箋と封筒、持ってない?」
これを聞く事が、ボクの用事だった(花恋さんなら持っているだろうと踏んで)。腹を満たすより先に、これを手に入れたかった。花恋さんはボクの質問に酷く驚いた表情を見せた。
「持ってますけど……何するんですか?」
「もちろん、それらが担う役割のままに」
利用してやるつもり。
そう言うと、目を丸くして驚いていたけど、
「素直に「手紙を書く」と言わないところが、ヒカリくんらしいですね」
そう言ってふふっと花恋さんは笑った。誰に宛てて書くのか、という疑問がきっと彼女の心を領しただろうが、それを口に出す事はなかった。部屋にあるから、と、花恋さんは自室へ向かう。ボクはその後に続いた。
それから花恋さんの部屋に向かおうとしたが、彼女の方が慌てた様子でこちらに向かってきた。それに驚いて、どうしたの? と問えば、花恋さんはあれ? と拍子抜けした様子できょとんとして見せた。
「あ、いえ……大きな音がしたから……何かあったのかなって……」
それを聞いて、あぁ、と小さな声をボクは漏らした。
「何でもないよ。シンがまたバカな事言うからさ。それにわざと大袈裟に怒って見せただけ」
「……バカなこと?」
瞳を真ん丸にして尋ねる花恋さんを見て、先刻のシンの発言など急激にどうでもよくなる。ボクはふっと笑みを零し、
「花恋さんは気にしなくていいよ」
とだけ言っておいた。ボクの笑みやいつも通りの対応を見て安心したのか、花恋さんはそれ以上追求はして来ず、ただ安堵の笑みを零した。
「それよりさ、便箋と封筒、持ってない?」
これを聞く事が、ボクの用事だった(花恋さんなら持っているだろうと踏んで)。腹を満たすより先に、これを手に入れたかった。花恋さんはボクの質問に酷く驚いた表情を見せた。
「持ってますけど……何するんですか?」
「もちろん、それらが担う役割のままに」
利用してやるつもり。
そう言うと、目を丸くして驚いていたけど、
「素直に「手紙を書く」と言わないところが、ヒカリくんらしいですね」
そう言ってふふっと花恋さんは笑った。誰に宛てて書くのか、という疑問がきっと彼女の心を領しただろうが、それを口に出す事はなかった。部屋にあるから、と、花恋さんは自室へ向かう。ボクはその後に続いた。