I love you に代わる言葉
「なら、明日仕事終わる頃に、ショッピングモール行くよ。一旦帰宅してから行くより、そっちの方がいいからさ」
「わかりました。……待ってます」
花恋さんはそう言ってはにかんだ。
それからボクは、花恋さんが作ってくれた野菜とキノコたっぷりのミルクスープを飲んだ。深夜に食べても重くならないし、これくらいが今のボクには丁度よく、とてもありがたかった。
スープを作ってくれている間、ボクはリビングで先刻貰った便箋に文字を書いていた。たったの、一行。だけどその一行が、ボクにとっては大切な言葉だった。書き終えると二つ折りにして封筒に入れる。糊付けはしない。封筒には、宛名も差出人名も書かなかった。とにかく、文字は便箋の中央に、一行だけ。
文字数だけ見ると、手紙というよりメモに近い。が、ボクはこれを手紙と呼ぶ。生まれて初めて書いた手紙。これが無事に渡る可能性は限りなくゼロに近いけど、それでもボクは書いておきたかった。
明日は土曜だからボクは学校もバイトも休みだけど、花恋さんは仕事がある。だからスープを飲み終えると、また明日、という言葉を残して、花恋さんはすぐに自室に戻っていった。同じ家に居るのに別々の家に帰るみたいな挨拶が少し面白かった。
花恋さんはこの手紙について触れなかった。誰に宛てたものなのか気にしている様子ではあったけど、それだけだった。
花恋さんが自室に戻ってからも暫く手紙を眺め想い耽る。数分後、ボクもシンの部屋に戻った。別にベッドで寝てもよかったのに、シンはわざわざ布団を敷いてそこに寝ていた。それに内心感謝しながら、ボクは手紙をテーブルに置くと、すぐにベッドに横になった。ケータイを開いてみると、着信履歴に二件、〔今井康介〕と残されていたみたいだが、錘を付けられたみたいに身体が重くなり、激しい眠気に襲われた為、ボクは掛け直す事なく目を閉じた。
「わかりました。……待ってます」
花恋さんはそう言ってはにかんだ。
それからボクは、花恋さんが作ってくれた野菜とキノコたっぷりのミルクスープを飲んだ。深夜に食べても重くならないし、これくらいが今のボクには丁度よく、とてもありがたかった。
スープを作ってくれている間、ボクはリビングで先刻貰った便箋に文字を書いていた。たったの、一行。だけどその一行が、ボクにとっては大切な言葉だった。書き終えると二つ折りにして封筒に入れる。糊付けはしない。封筒には、宛名も差出人名も書かなかった。とにかく、文字は便箋の中央に、一行だけ。
文字数だけ見ると、手紙というよりメモに近い。が、ボクはこれを手紙と呼ぶ。生まれて初めて書いた手紙。これが無事に渡る可能性は限りなくゼロに近いけど、それでもボクは書いておきたかった。
明日は土曜だからボクは学校もバイトも休みだけど、花恋さんは仕事がある。だからスープを飲み終えると、また明日、という言葉を残して、花恋さんはすぐに自室に戻っていった。同じ家に居るのに別々の家に帰るみたいな挨拶が少し面白かった。
花恋さんはこの手紙について触れなかった。誰に宛てたものなのか気にしている様子ではあったけど、それだけだった。
花恋さんが自室に戻ってからも暫く手紙を眺め想い耽る。数分後、ボクもシンの部屋に戻った。別にベッドで寝てもよかったのに、シンはわざわざ布団を敷いてそこに寝ていた。それに内心感謝しながら、ボクは手紙をテーブルに置くと、すぐにベッドに横になった。ケータイを開いてみると、着信履歴に二件、〔今井康介〕と残されていたみたいだが、錘を付けられたみたいに身体が重くなり、激しい眠気に襲われた為、ボクは掛け直す事なく目を閉じた。