I love you に代わる言葉
何も答えずリビングを出ようとすると、
「ねーちゃん迎えに行くのか?」
と背後からシンが尋ねてきた。ボクはゆっくり振り返り、
「迎えっていうか、これからちょっとおねーさんと行く所があるからね」
と答えた。すると、
「何!? これからどこに行くんだよ?! 一体どこに行くつもりなんだよ!? デートなのか!? おいっ、デートなのか!?」
と興奮気味に声を荒げ、今井が詰め寄ってくる。
「別にどこだっていいだろ。アンタに関係ない」
ボクはそう言って背を向けたが、今井はガシッとボクの服を掴んできた。それによって踏み出そうとした足は止まり、背後を振り向かざるを得なくなる。
「気になるじゃねーか! 教えてくれたっていいだろ! デートか!?」
「……別にそんなんじゃない。用事があって『そこ』に行くだけだ。すぐに帰る」
「だから『そこ』ってどこだよ!?」
今井は更に詰め寄ってきたが、ボクは服を掴む今井の手をぺっと引き剥がすと、
「まあ帰ったら教えてあげるよ」
と言っておいた。流石にシンもそれにはきょとんとした表情を見せた。今井のように騒ぐ事はないが、何処に行くのか気になっているのはシンも同じなんだろう。
ボクはリビングを出て、一度シンの部屋に入る。ケータイと財布と……そしてもう三点、手に取る。その三点の内一つとケータイと財布はズボンのポケットに入れたが、他二点はポケットに入れる訳にはいかないし、かと言って裸のまま持ち歩くのも躊躇われた為、小さな紙袋に入れた。計五つのものを持ち、ボクは玄関へと向かう。今から出れば、花恋さんが仕事を終える時間の少し前に到着するだろうと考えながら。
「ねーちゃん迎えに行くのか?」
と背後からシンが尋ねてきた。ボクはゆっくり振り返り、
「迎えっていうか、これからちょっとおねーさんと行く所があるからね」
と答えた。すると、
「何!? これからどこに行くんだよ?! 一体どこに行くつもりなんだよ!? デートなのか!? おいっ、デートなのか!?」
と興奮気味に声を荒げ、今井が詰め寄ってくる。
「別にどこだっていいだろ。アンタに関係ない」
ボクはそう言って背を向けたが、今井はガシッとボクの服を掴んできた。それによって踏み出そうとした足は止まり、背後を振り向かざるを得なくなる。
「気になるじゃねーか! 教えてくれたっていいだろ! デートか!?」
「……別にそんなんじゃない。用事があって『そこ』に行くだけだ。すぐに帰る」
「だから『そこ』ってどこだよ!?」
今井は更に詰め寄ってきたが、ボクは服を掴む今井の手をぺっと引き剥がすと、
「まあ帰ったら教えてあげるよ」
と言っておいた。流石にシンもそれにはきょとんとした表情を見せた。今井のように騒ぐ事はないが、何処に行くのか気になっているのはシンも同じなんだろう。
ボクはリビングを出て、一度シンの部屋に入る。ケータイと財布と……そしてもう三点、手に取る。その三点の内一つとケータイと財布はズボンのポケットに入れたが、他二点はポケットに入れる訳にはいかないし、かと言って裸のまま持ち歩くのも躊躇われた為、小さな紙袋に入れた。計五つのものを持ち、ボクは玄関へと向かう。今から出れば、花恋さんが仕事を終える時間の少し前に到着するだろうと考えながら。