I love you に代わる言葉


 花恋さんの仕事が終わり、ボク等はとある場所に向かっていく。といっても、行き先を知らない花恋さんは、行くというよりボクについてくる、という表現が正しいけど。
 ショッピングモールを出て最寄のバス停へと向かうが、ボク等が帰る家とは反対方向のバスに乗る。どこに向かうのか気になってしょうがない、という感情を、花恋さんは思い切り表していたが、何も聞いては来なかった。
 バスを降りて歩くこと数分、段々と市街地から離れ、立派な住宅街とは到底呼べぬ、少し古い民家や古いアパートが立ち並ぶ閑散とした場所へと入っていく。街灯がつかない程不気味な場所ではないけど、人通りが少なく店がないから、宵を過ぎた頃にここを一人で通るのは、女なら誰もが嫌がる場所だろう。まあ今はまだ、人工的な明かりに頼らずとも視界は明瞭であるし、一人ではないから多分大丈夫だろう。
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