I love you に代わる言葉


『世界は不思議で成り立ってるからな。科学で解明されてねぇ事も、生涯解明されねぇ事も世の中にごまんとある』


 ……――そうだ。それを信じてみよう。
 この石が、もしかしたら不思議な力で呼び寄せるかも、なんて柄にもない事考えたけど、信じるしか……今はもう、それしかない。ボクも救われたんだから、いつかあの女にも、そんな日が訪れるかも知れない。
 救われても、もしも謝罪されても、赦しを請われても……ボクは一生、その過ちを赦す事は出来ないだろうけど。……でも。
 いつか、赦したい。
 もういいんだ、そんな事 って。
 笑って、赦したい。
「……要するに、ボクを幸せにしてくれたものだからさ、あの女の為に……置いておこうと思う」
「素敵な考えだと思います」
 花恋さんはそう言って微笑む。この笑顔に、一体どれだけ、ボクは救われてきたんだろう……――ダメだ。情けない。また泣きそうになった。人間一度弱さを見せると、段々と脆くなっていく気がする。
「……お母さんにも、幸せが訪れるといいですね」
 花恋さんはアメシストを眺めながら、静かに呟いた。



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