I love you に代わる言葉
05話 鼓動の音~コドウ ノ オト~
七月に入り、季節は夏本番を迎える。
高く昇った太陽が、燦燦と地面を照り付けて陽炎が揺らめく。
校庭では何処の学年か知らないが体育の授業でサッカーをしている。その灼熱下でよくもまぁ。
ボクはクーラーの効いた教室で、机に頬杖をついてそれを眺める。今は数学の時間だが、まぁ要するにボクは授業をきちんと聞いてはいない。呪文の如く紡がれるセンセーの言葉と密めき合う誰かの話し声をBGMに、物思いに耽っている訳だ。
今までこんな事は無かった。一つの事に捉われるなど。一つ、――否、『一人』か。
二週間前に見たあの夢。
くだらないものだと片付けた筈のそれは、日を追うごとにボクの心を支配していく。
何故あんな夢を見た。何故今更になって。何故夢の中でボクは泣いていた? 何故『あの人』が出てきた――……?
そんな想いに捉われて、振り払おうにもそれは叶わない。突如出現した『あの人』の笑顔が、頭から離れずに。
高く昇った太陽が、燦燦と地面を照り付けて陽炎が揺らめく。
校庭では何処の学年か知らないが体育の授業でサッカーをしている。その灼熱下でよくもまぁ。
ボクはクーラーの効いた教室で、机に頬杖をついてそれを眺める。今は数学の時間だが、まぁ要するにボクは授業をきちんと聞いてはいない。呪文の如く紡がれるセンセーの言葉と密めき合う誰かの話し声をBGMに、物思いに耽っている訳だ。
今までこんな事は無かった。一つの事に捉われるなど。一つ、――否、『一人』か。
二週間前に見たあの夢。
くだらないものだと片付けた筈のそれは、日を追うごとにボクの心を支配していく。
何故あんな夢を見た。何故今更になって。何故夢の中でボクは泣いていた? 何故『あの人』が出てきた――……?
そんな想いに捉われて、振り払おうにもそれは叶わない。突如出現した『あの人』の笑顔が、頭から離れずに。