I love you に代わる言葉
何と言おう。常連と聞けばやはり石好きだと思うんだろう。石にこれっぽっちも興味はないが、オバサンが万引き犯と言わずに常連だと言ってくれたんだ。柄じゃないけどその礼として嘘をつくのも悪くはない。万引きした事をこいつに告げられれば面倒だからね。
「……ああ、まぁ、ね。全然詳しくはないけどね」
こう言えばこいつにとって面白くないだろう。石が好きでこの店を開いたんだから、石好きで詳しい奴と話がしたい筈だ。アンタと仲良く石語りをする気はない、その意思表示のつもりだった。だがこいつは予想に反し、ボクが思わずたじろぐ程の笑顔を見せてきた。腰を曲げてカウンターに頬杖を付いた姿勢で苦笑するオバサンが視界の隅に映る。
「本当かい? いいんだよ詳しくなくても。石の魅力にその若さで気付いてくれるなんて嬉しいよ」
何なんだよこの喜びよう。詳しくないなら教えてあげる、という事だろうか。面倒な事になりそうだ。心底そう思った。
「君はどんな石が好きなんだい?」
どんなって言われても、そんなもの無いよ。真っ先に浮かんだそれを口に出す訳にも行かず。返答に困り考えを巡らせるが、困惑する様はボクが好きな石を頭の中で選んでいる様に見えるらしい。男はニコニコしてボクの答えを待っている。
くそっ、オバサンは何してるんだよ。助け舟を出せよ。
盛大に溜息をつきたくなった。
ボクは石の名など知らない。さっき見た鉱物図鑑でも、その殆どが読み方すら解らなかったんだ。
「!」
鉱物図鑑か……。
「……ああ、まぁ、ね。全然詳しくはないけどね」
こう言えばこいつにとって面白くないだろう。石が好きでこの店を開いたんだから、石好きで詳しい奴と話がしたい筈だ。アンタと仲良く石語りをする気はない、その意思表示のつもりだった。だがこいつは予想に反し、ボクが思わずたじろぐ程の笑顔を見せてきた。腰を曲げてカウンターに頬杖を付いた姿勢で苦笑するオバサンが視界の隅に映る。
「本当かい? いいんだよ詳しくなくても。石の魅力にその若さで気付いてくれるなんて嬉しいよ」
何なんだよこの喜びよう。詳しくないなら教えてあげる、という事だろうか。面倒な事になりそうだ。心底そう思った。
「君はどんな石が好きなんだい?」
どんなって言われても、そんなもの無いよ。真っ先に浮かんだそれを口に出す訳にも行かず。返答に困り考えを巡らせるが、困惑する様はボクが好きな石を頭の中で選んでいる様に見えるらしい。男はニコニコしてボクの答えを待っている。
くそっ、オバサンは何してるんだよ。助け舟を出せよ。
盛大に溜息をつきたくなった。
ボクは石の名など知らない。さっき見た鉱物図鑑でも、その殆どが読み方すら解らなかったんだ。
「!」
鉱物図鑑か……。