I love you に代わる言葉
「日生くん、石、好きになりました?」
笑顔で尋ねられる。社長の説明を受けていた様子が目に入ったのだろう。いつも以上に瞳がキラキラしているのは気のせいだろうか。どう答える? 社長の手前、否定も出来ない。
「……少し、ね」
そう言うとおねーさんは嬉しそうに笑った。
「天青石が好きだと言うから見せてあげていたんだよ」
ほらね、と男は掌中の天青石を小さく掲げて見せた。その言葉におねーさんは信じられないとでも言う様に瞳を丸くした。天青石とボクとを交互に見つめる。
「え? 天青石? 日生くん、天青石が好きなんですか?」
「……まぁ、」
好きではないけどね、と二度目の本音。それは勿論心の中だけで留めた。
だけど示された肯定におねーさんの表情はパッと明るくなる。
「天青石、私も好きなんです! まるで空の中で作られた石みたい。空の青を吸収して天使を思わせる石ですよね!」
いつも落ち着いているおねーさんが若干興奮気味で思わず瞠目する。おねーさんは嬉しそうに言葉を続けた。
「空の青と言えば、エンジェライトという石も天青石と近い石なんですよ! 共に空の様な青さをしていて、――あ。天青石の発色原因がストロンチウムと聞きました? エンジェライトも同じなんですよ」
子供の様に無垢な笑顔で好きなものを語る姿は、ボクには無いものだ。眩しくて、それを直視出来なくて視線を逸らす。だけどおねーさんがこんな風に語る様子を見て、天青石を好きになりそうな自分が居る。それを何処か奥で感じて僅かに戸惑いを覚えた。
おねーさんはくるりと方向転換し、店内の中央に位置する展示棚に向かった。
笑顔で尋ねられる。社長の説明を受けていた様子が目に入ったのだろう。いつも以上に瞳がキラキラしているのは気のせいだろうか。どう答える? 社長の手前、否定も出来ない。
「……少し、ね」
そう言うとおねーさんは嬉しそうに笑った。
「天青石が好きだと言うから見せてあげていたんだよ」
ほらね、と男は掌中の天青石を小さく掲げて見せた。その言葉におねーさんは信じられないとでも言う様に瞳を丸くした。天青石とボクとを交互に見つめる。
「え? 天青石? 日生くん、天青石が好きなんですか?」
「……まぁ、」
好きではないけどね、と二度目の本音。それは勿論心の中だけで留めた。
だけど示された肯定におねーさんの表情はパッと明るくなる。
「天青石、私も好きなんです! まるで空の中で作られた石みたい。空の青を吸収して天使を思わせる石ですよね!」
いつも落ち着いているおねーさんが若干興奮気味で思わず瞠目する。おねーさんは嬉しそうに言葉を続けた。
「空の青と言えば、エンジェライトという石も天青石と近い石なんですよ! 共に空の様な青さをしていて、――あ。天青石の発色原因がストロンチウムと聞きました? エンジェライトも同じなんですよ」
子供の様に無垢な笑顔で好きなものを語る姿は、ボクには無いものだ。眩しくて、それを直視出来なくて視線を逸らす。だけどおねーさんがこんな風に語る様子を見て、天青石を好きになりそうな自分が居る。それを何処か奥で感じて僅かに戸惑いを覚えた。
おねーさんはくるりと方向転換し、店内の中央に位置する展示棚に向かった。