I love you に代わる言葉
06話 変動の刻~ヘンドウ ノ トキ~
「あら、またサボり? 日生君」
 ガラッと保健室の扉を開けばそんな声が飛んできた。
 養護教諭である水野センセーの方に一度も顔を向けないまま、後ろ手で扉を閉め無言で室内へと入る。そしてセンセーが使用する机の少し前に置かれた、L字型に置かれた二つの長椅子、机から垂直に置かれた方に腰掛けた。
 ボクが授業をサボる場所は意外にも多くはなく、此処と体育館裏だけだ。屋上は立入禁止となっていて、漫画やドラマみたいに簡単に上がれる場所じゃなかった。
 今の時期体育館裏でサボるには暑過ぎる。だから此処に来た。
「最近は真面目に授業に出てたのに、また急にどうしたの? ……ああ、真面目に授業出てた日生君の方が珍しかったわね」
 そう言ってふふふっと悪戯っぽく笑った水野センセーを軽く睨んだ。だけど反論するのも馬鹿馬鹿しくて(間違ってもないしね)結局無言を貫いた。
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