I love you に代わる言葉
振り返ればそこには、数分前まで一緒に居た(好きで一緒に居た訳じゃないけどね)今井が立っていた。周囲に誰も居ないこの空間を考えれば、ボクの名を呼んだのはこいつで間違いない。
ボクを探していたのか、少し息が切れているようだ。
「見付かって良かったぜ。帰ったのかと思った」
そう言って安堵の表情を見せた。こいつの方こそこんな表情を見せた事あったっけと頭の隅で考える。二カッと今にも笑いそうだ。ボクが変わったんじゃなくて、こいつが変わったんじゃないだろうか。
「授業、出るのか?」
無言で見つめればそんな事を尋ねられる。
「だったら?」
質問に質問で返す。今井はニッと笑顔を見せて、
「サボって帰ろうぜ!」
そう言った。
意味が解らない。だけど解らないのは言葉の意味じゃない。だってサボって一緒に帰る事など別に珍しい事ではなかったから。解せないのはこいつの笑顔だ。そして明らかに言葉の中に『お誘い』の意が込められている。
明らかに以前と違うこいつに怪訝な顔を向ける。
「アンタ一人で帰ればいいだろ」
そう言って背を向けて歩き出せば、「待てよ!」と背後から声が掛かる。面倒だから無視したけど、結局次の言葉でまた立ち止まる事になる。
「これから一緒に煌宝に行こうぜ!」
振り返れば二カッと笑う今井と目が合う。
「は? 何でアンタと」
「いいから行こうぜ」
そう言ってボクの腕を軽く掴んだが、その手を思い切り振り払う。こいつが鬱陶しくて仕方なかった。
まだ何か言いたそうに見つめてくるこいつを無表情で数秒眺めた後、ボクは背を向けて歩き出した。以前の様に怯えた表情を見せなくなったこいつに苛立ったが、ボクももう何も言わなかった。
六限目の始まりを告げるチャイムが校内に響き渡り、それが妙に煩い事と間に合わなかった事に苛立った。
ボクを探していたのか、少し息が切れているようだ。
「見付かって良かったぜ。帰ったのかと思った」
そう言って安堵の表情を見せた。こいつの方こそこんな表情を見せた事あったっけと頭の隅で考える。二カッと今にも笑いそうだ。ボクが変わったんじゃなくて、こいつが変わったんじゃないだろうか。
「授業、出るのか?」
無言で見つめればそんな事を尋ねられる。
「だったら?」
質問に質問で返す。今井はニッと笑顔を見せて、
「サボって帰ろうぜ!」
そう言った。
意味が解らない。だけど解らないのは言葉の意味じゃない。だってサボって一緒に帰る事など別に珍しい事ではなかったから。解せないのはこいつの笑顔だ。そして明らかに言葉の中に『お誘い』の意が込められている。
明らかに以前と違うこいつに怪訝な顔を向ける。
「アンタ一人で帰ればいいだろ」
そう言って背を向けて歩き出せば、「待てよ!」と背後から声が掛かる。面倒だから無視したけど、結局次の言葉でまた立ち止まる事になる。
「これから一緒に煌宝に行こうぜ!」
振り返れば二カッと笑う今井と目が合う。
「は? 何でアンタと」
「いいから行こうぜ」
そう言ってボクの腕を軽く掴んだが、その手を思い切り振り払う。こいつが鬱陶しくて仕方なかった。
まだ何か言いたそうに見つめてくるこいつを無表情で数秒眺めた後、ボクは背を向けて歩き出した。以前の様に怯えた表情を見せなくなったこいつに苛立ったが、ボクももう何も言わなかった。
六限目の始まりを告げるチャイムが校内に響き渡り、それが妙に煩い事と間に合わなかった事に苛立った。