I love you に代わる言葉
「これが原油入り水晶です。水晶中に、原油が内包されているんですよ」
おねーさんは手の平にそれを乗せて、ボク達に見せてきた。
そこにあるのは小振りの水晶だった。透明度は高いように思う。変わった所は中に黄色の何かが見えるくらいか。だけど別段変わった様子のない普通の水晶だ。何を綺麗と言っているのか正直解らない。
「これが? って顔をしていますね」
ボクの思考は完全に表情に出ていたらしい。もしかしたら無反応だったから読まれたのかも知れない。
だけどおねーさんの言葉から察するに、ボク達の反応などおねーさんには想定内の事だったんだろう。
「これを使って見るととても綺麗なんですよ」
おねーさんはそう言って傍らに置いてあるライトに右手を置いた。
「何スか? それ」
「ブラックライトです」
今井が尋ねると、おねーさんは問われる事を予め知っていたかの様に即答した。
「日生くんは知っています?」
「聞いた事はある。青紫色したライトだよね。ただ、その物を知ってるだけで用途は知らない」
「ブラックライトは長波長の紫外線を放射するライトです。医学、生物学、鉱物学等、結構広い分野で利用されているんですよ。蛍光物質を光らせる特徴があるんです」
「ああ、その水晶が光るんだね? 原因は中の原油?」
「はい。流石日生くん」
端正な顔立ちが、微笑んだ事によってくしゃりと歪む。
美しい歪みだ。
矛盾を含む何とも可笑しな語。だけどそれがおねーさんには相応しい。
ふと気付き、無言でいる今井を何気無く見ると、疑問符を頭上に浮かべた間抜け面がそこにはあった。
おねーさんは手の平にそれを乗せて、ボク達に見せてきた。
そこにあるのは小振りの水晶だった。透明度は高いように思う。変わった所は中に黄色の何かが見えるくらいか。だけど別段変わった様子のない普通の水晶だ。何を綺麗と言っているのか正直解らない。
「これが? って顔をしていますね」
ボクの思考は完全に表情に出ていたらしい。もしかしたら無反応だったから読まれたのかも知れない。
だけどおねーさんの言葉から察するに、ボク達の反応などおねーさんには想定内の事だったんだろう。
「これを使って見るととても綺麗なんですよ」
おねーさんはそう言って傍らに置いてあるライトに右手を置いた。
「何スか? それ」
「ブラックライトです」
今井が尋ねると、おねーさんは問われる事を予め知っていたかの様に即答した。
「日生くんは知っています?」
「聞いた事はある。青紫色したライトだよね。ただ、その物を知ってるだけで用途は知らない」
「ブラックライトは長波長の紫外線を放射するライトです。医学、生物学、鉱物学等、結構広い分野で利用されているんですよ。蛍光物質を光らせる特徴があるんです」
「ああ、その水晶が光るんだね? 原因は中の原油?」
「はい。流石日生くん」
端正な顔立ちが、微笑んだ事によってくしゃりと歪む。
美しい歪みだ。
矛盾を含む何とも可笑しな語。だけどそれがおねーさんには相応しい。
ふと気付き、無言でいる今井を何気無く見ると、疑問符を頭上に浮かべた間抜け面がそこにはあった。