I love you に代わる言葉
アメシストを掴み持ち上げる。手首を捻ってその角度を変えれば、結晶の側面がてらてらと光沢を放つ。
身動き一つせず数秒それを眺めた後、再び元あった場所にそっと置いた。
いつかこいつに復讐してやろうと目論み此処に置いたのに、僅かでもこいつに感謝の気持ちを抱く日が来ようとは、夢にも思わなかった。だけど言葉に出来るだけの気持ちを抱いたかと言えばそうじゃない。ボクはまだ、そこまで思えない。幸福と呼べるものなど、今のボクにありはしないから――……。
視線を上げ窓の外を見る。アメシストの深い紫色を思わせる、宵へと変化する世界が瞳に映り、シャッとカーテンを引いてその世界とボクとを切り離した。
ベッドへ戻ろうと振り返れば、直後にベッド上にポツンと置かれたままのケータイがピリリと短い音を立てた。
メールだ。送信者が誰なのか予想のつくこの現状は喜ばしい事なのか。
屈んでケータイを手に取り立ったまま確認する。送信者は予想通りあの馬鹿からだった。
<あした日生んちいって良いか? 勉強おしえてくれ!>
何だこの馬鹿みたいなメール。やけに平仮名多いな。何故「あした」とか「いって」とか「おしえて」とか漢字にせず「良い」を漢字にしたんだ。
そんな疑問が浮かんでフッと小さく笑みが零れた。
身動き一つせず数秒それを眺めた後、再び元あった場所にそっと置いた。
いつかこいつに復讐してやろうと目論み此処に置いたのに、僅かでもこいつに感謝の気持ちを抱く日が来ようとは、夢にも思わなかった。だけど言葉に出来るだけの気持ちを抱いたかと言えばそうじゃない。ボクはまだ、そこまで思えない。幸福と呼べるものなど、今のボクにありはしないから――……。
視線を上げ窓の外を見る。アメシストの深い紫色を思わせる、宵へと変化する世界が瞳に映り、シャッとカーテンを引いてその世界とボクとを切り離した。
ベッドへ戻ろうと振り返れば、直後にベッド上にポツンと置かれたままのケータイがピリリと短い音を立てた。
メールだ。送信者が誰なのか予想のつくこの現状は喜ばしい事なのか。
屈んでケータイを手に取り立ったまま確認する。送信者は予想通りあの馬鹿からだった。
<あした日生んちいって良いか? 勉強おしえてくれ!>
何だこの馬鹿みたいなメール。やけに平仮名多いな。何故「あした」とか「いって」とか「おしえて」とか漢字にせず「良い」を漢字にしたんだ。
そんな疑問が浮かんでフッと小さく笑みが零れた。