愛してもいいですか
「お父さんは?」
「あちらでご友人方と話すから私は自由にしていていい、と。お会いになられますか?」
「ううん、あとで顔を合わせることがあればでいいわよ」
「そうですか」と頷いて、眼鏡の奥のツンとした目は微笑んだ。相変わらずの優しい瞳だ。
「そういえば英三社長が『今度四人で食事でも』とおっしゃってましたよ」
「四人?」
「架代社長と日向、英三社長と私、で」
「……なんで親子が秘書つきで会わなきゃいけないのよ」
「英三社長は日向を気に入ってらっしゃいますから。よくメールしてるそうですよ」
「お父さんと日向が!?メル友!?」
ま、まさかの!?
驚く私に、神永は笑顔のまま私の姿を上から下まで眺める。
「そのドレスも大変お似合いで。さすが日向、ですね」
「え?どうして日向が選んだこと知って……?」
「昨日の夕方電話がじゃんじゃん来てましたから。『架代さんの好きなドレスのタイプは?嫌いなタイプは?色は?丈は?』と」
「……迷惑かけたわね」
私が気にいる物を選ぶには、好みを知り尽くしている神永に聞くのが一番だと思ったのだろう。ショップの中で携帯片手に必死に相談する日向の姿が簡単に目に浮かぶ。