愛してもいいですか
「『食事でもしよう』……って、誰が?」
「宝井社長ですよ。先日のパーティではまともに顔も合わせられなかったから、たまには四人で食事でも、と」
「お父さんが?」
そういえばこの前神永も似たような話をしていたっけ……。
なんでわざわざ秘書も連れて……そう思う気持ちもあるけれど、ここしばらくまともにお父さんと顔を合わせていないのも事実。それを考えると、たまにはいいかなと思えてしまう。
「……まぁ、少しくらいなら」
「じゃあ神永さんに連絡しておきますね。帰りもご自宅まで俺が送りますから」
「えぇ。コピー、終わったら部屋まで持ってきて」
「わかりました」
私は日向を一人その場に残すと、その部屋を出る。
コピー機の音を背中で聞きながら、まだドキ、ドキ、と音をたてる心臓をそっとおさえて。