愛してもいいですか
「……あの、話は変わるんですけど」
「なんですか?」
「ちょっと真剣に聞いてほしいんだけど……俺と、結婚を前提に付き合って貰えませんか?」
「え……」
突然の、彼からの告白。それはとても真剣な目で、冗談では決してない。
「何回かこうして会って、宝井さんがいい人だっていうのも分かりましたし、可愛い人だってことも感じました。宝井さんみたいな明るい人と家族になれたら、きっともっと毎日頑張れるだろうって思う」
「松嶋さん……」
「……なんていろいろ言ってますけど、要するに、好きなんです。宝井さんのことが」
私のことが、好き?私を想って、頑張れる?なんて、すごく嬉しい言葉。
「ただ、結婚したら出来れば家庭を優先して仕事も辞めてほしいんです」
けれど、その一言によって素直に喜べなくなる。
「家庭を、優先して……?」
「はい。今のままじゃ家のこととの両立も難しいだろうし、俺としてもやっぱり奥さんには家を守ってほしいというか」
彼はたれた目を細めた笑みで、少し緊張した様子で言う。