愛してもいいですか
「それも含めて向き合える人との方がいいと思うって、要するに自分じゃ無理だって。……前に日向が言ってた通りだった。見て見ぬふりをして、向き合った時に痛い目を見ただけだった」
言葉に表すと、はっきりと込み上げる気持ち。どうしてか、日向の前では隠すことなんて出来ずに。
「あー、もう……本当、」
言いかけた言葉とともに、ボロボロッとこぼれた涙。途端に糸が切れたように、涙はどんどんと溢れ出してくる。
「えっ……架代さん!?ど、どうしたんですか!?そんなに泣くほどあの人のこと……!?」
「違う、そうじゃなくてっ……」
さすがに私が突然泣き出すとは思わなかったのか、日向は驚き慌てたようにこちらへ近付く。
この涙は、どうしてか。心を覆う苦しさは、どこからくるのか。
「結局……私はずっとこのままなのかな」
「え……?」
自分の選んだことを信じたい。だけど、私が間違っているのかな。社長なんて辞めて、女としての幸せを優先するべきなのかな。
なにが正しいか分からなくて、不安になるよ。
「きっと私は、懲りずにこういうことを繰り返すんだろうね。想ってくれる人を選ぶことも出来ないで、バカな私は仕事を優先しちゃうんだろう……そう思ったら、少し怖い、」
「怖い……?」
「自分で選んで出した答えを、いつか後悔してしまう日がくるんじゃないかって。大切にしてきたものが、いつか嫌いになっちゃうんじゃないかって……」
きっと私は変わらない。何度泣いてもへこんでも、同じ道を選ぶだろう。
だけどいつか在るかもしれない、その先が怖いよ。誰とも理解し合えないまま、信じてきたものを嫌いになるかもしれない。それが、怖い。