愛してもいいですか



元々家事は苦手だけれど、それに加えて最近忙しく、片付けもゴミ捨てもまともにしていない。

洗濯も面倒だからと脱いだままこうして置きっ放しで溜め込んでいるし、料理をする気にならないからと食事をコンビニで買ってきて、食べた後のゴミは袋にいれたままこれも溜め込んで……。

とてもじゃないけれど、つい先日まで結婚だなんだと話をしていた女の部屋とは思えない。



そしてこれを片付けるのも面倒……いいや、久しぶりにハウスキーパーでも頼もう。

冷蔵庫から冷やしておいたお茶のボトルを取り出し、一口飲む。すると突然、ピンポーン、と鳴るインターホンの音。



「ん?」



誰か来た?

休日に家に訪ねてくるような相手に心当たりもなく、エントランスのカメラをパッとつける。



「はい?」

『あ、おはようございます!日向です!』

「え!?」



するとそこに表示されたのは、相変わらずの笑顔を見せる元気のいい日向の顔。

って、なんで日向が……!?



『英三社長からの命令で、架代さんのご自宅のお掃除に伺いました!』

「はぁ!?なんでそんな……」



お父さんはまた勝手なことを……!



また二人で連絡を取り合ううちに、そういった話になったのだろう。

『架代は昔から家事が苦手でなぁ……なに?近頃仕事が忙しい?それじゃあまた汚い部屋になっているに決まっている!そうだ、日向くん、架代のところに行って掃除してやってくれんか!』

……と勢いで決めるお父さんの姿が簡単に想像つく。



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