愛してもいいですか
「で、その大荒れの部屋を一人で片付けられるんですか?」
「はっ!いや、これはっ……」
「片付け苦手とは聞いてたから荒れてるのは想像してたけど……ここまで汚いとは。片付け甲斐がありそうですねぇ」
足の踏み場もない室内に驚きながらシャツを手にとる。その手から私はバッとシャツを奪った。
「ちょっと!勝手に触らないで、変態!」
そんな私に、日向は目を向けるとふっと笑い顔を近付ける。
「えぇ。俺は変態ですから、いつまでもそんな迂闊な格好でうろつかれると襲っちゃうかもしれません。着替えてきたほうがいいんじゃないですか?」
「なっ!?」
その言葉から、自分が首まわりの緩いワンピースタイプのルームウェアでいることに気付く。
この男を一人ここに残すのは嫌だけれど、こんな油断しきった格好のままでいるのも嫌……!
「っ……着替えてくるわよ!いい!?そこから一歩たりとも動かず周りの物にも触るんじゃないわよ!?」
「はいはーい、ついでに寝癖も直してきてくださいねー」
「言われなくても!!」
渋々寝室へ戻り、洋服ケースから適当な服を探し出す。
なんなのあの男は本当に!一方的に女性の部屋に入るなんて……デリカシーってものがないの!?
とりあえず服、デニムにTシャツに……。そうデニムのスキニーパンツを手にとったところで、不意に目の前の大きな鏡が目に入る。
そこに映るのは、予想よりひどい寝癖とすっぴんで眉毛もまともにない、いかにもついさっきまで寝てましたと言ったような姿の自分。
こ、これはさすがに……ひどい。
汚い部屋は見られるわ、ひどい姿の自分も見られるわ……本当、最悪。せめて顔を洗って、眉毛も薄く描いてからリビングに戻ろう……。
そう決めて、まずは服を着替えた。