愛してもいいですか
そして服を着替え身なりをそれなりに整え、リビングに戻る。するとそこには、てきぱきと足元の服を拾いカゴへ分けて入れている日向がいた。
テーブルの上のゴミや置いたままの食器も、心なしか少し片付いている。
「……って、何普通に掃除してるのよ」
「いやぁあまりにも汚かったもので!はい!架代さんも!」
「は?」
すると唐突にずいっと押し付けられたのは、『可燃ゴミ』と書かれたゴミ袋。
「掃除しに来たんでしょ。あんた一人でやりなさいよ」
「社長からの命令は『家事を教えてくること』ですから。俺一人でやっても意味がないんです」
「なにそれ……」
「ま、掃除が出来て損しませんから!可燃ゴミはここ、不燃は向こう。ペットボトルは後でキャップとラベルを外すのでとりあえずそこに除けておいてください。洋服はとりあえず俺の判断で洗濯かクリーニングに出しますので」
てきぱきと指示しまた洗濯物をカゴに分ける日向は、異性の家に上がり込んでいるというのに一切の下心も見せずに動く。
本当に片付けに来ただけなのね……ってそれじゃあまるで私が何かを期待してるみたいじゃない!違う、そうじゃなくて!
……そういうわけじゃ、ないんだけどさ。仮にもこの前抱き締めた相手を前にしてこうも普通でいられるもの?
「どうかしました?」
「えっ!?」
考えながらその姿をじっと見てしまっていたらしく、日向はその視線に気付いたようにこちらを見る。