愛してもいいですか
「あ、いや……家事、慣れてるんだと思って。そういえば料理も得意だしさ」
「そうですね、学生の頃からやってるから慣れてます」
「そうなの?」
「えぇ。前にうちに姉が二人居るって言ったじゃないですか」
そういえば……だから女のワガママには慣れている、って言っていたっけ。
「その姉二人も家事が苦手で。大学の頃、俺も姉たちもそれぞれ一人暮らししてたんですけど、結局うちに転がり込んで来てそのまま住み着いて……俺は弟だからと毎日家事をやらされてまして……」
「あー……」
恐らくお姉さんは二人とも、女王様タイプなのだろう。遠い目をして語る日向はいいようにコキ使われそうなのが簡単にイメージつく。
そんな日向を横目に、私は散らかったテーブルの上のゴミを袋へ入れだした。
「それにしてもすごい散らかり方ですねぇ。服くらい脱いだら洗って干すだけじゃないですか」
「疲れて帰って来てそんな気力なんてないの!部屋着に着替えて後でまとめて洗おうと思って……気付いたら数日、みたいな」
「家事が苦手以前に、性格が面倒くさがりなんですねぇ。……あ」
「なによ?」
話しながら見れば、日向の手には服の山の中から出てきたのであろう、黒いレースの私のブラ……脱いだままにしていた自分が悪いとはいえ、恥ずかしさと怒りで私は日向の手からそれをバッと奪い取った。
「バカ!変態!!」
「いやぁ、まさかそれまで埋まっているとは……」
さすがの日向もそれには何も言わず、寧ろ少し照れたように目を逸らした。