愛してもいいですか
『その人の隣で恥ずかしくない秘書になれるように、立派な秘書になろうって』
初めて見た、キラキラと光溢れる瞳。愛しい姿を思い浮かべているのだろう眼差し。
それらにチリ、と心は痛んで、『聞きたくない』と思った。
見たくない、誰かを想う瞳なんて。聞きたくない、誰かのための感情なんて。
嫌で、苦しくて、痛くて、逃げるようにごまかすようにその胸に抱きついた。
あの後ふと我に返って『なんでもない!』と誤魔化し逃げて、あれ以来口を聞いていないけど……日向、絶対何かと思ったよね。私相手じゃ拒むに拒めなかっただろうし……。
昨日一日まともに顔も見られなかったけど、今日もまた気まずい。
「……はぁ、」
ため息をひとつつき、気まずさに気が重くなるものの、仕事はしなければならない。
コツ、コツ、とヒールを鳴らし廊下を歩き、やってきた社長室の前。ひとつ息を吸い込むと、茶色い大きなドアをガチャッと開けた。
「あっ、おはようございます!架代さん!」
すると出迎えたのは、いつも通りの明るい声とニコッとした笑顔。