愛してもいいですか



もしかして、日向の憧れていた人って……西さん?

そっか、日向はあの人と仕事をしたくて秘書になったんだ。恋人をつくることもなく、ただ一心にあの人を想って。



優しい瞳は、彼女に向けられたものだった。

そんな中でたまたま運悪く、私の秘書になんてなってしまっただけ。だから、秘書としての仕事を真っ当にこなしていただけなんだ。



……痛い。

向き合う現実に、また胸の奥が締め付けられる。いやだ、そんなの、いやだ。芽生えてしまった、嫉妬と独占欲。

笑う二人の姿を思い出し、また心がチリ、と音を立てた。




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