愛してもいいですか
「ったく……自分が社長の秘書から異動になったからって八つ当たりをするな」
「なっ!なんでそれを!?」
「社長自身から聞いた。次はお前の話を聞こうと思っていたところだ。丁度いい、付き合え」
「へ?」
架代さん自身から話を聞いた?いつの間に……それに俺の話を?
一人淡々と話を進め、「来い」と歩き出す神永さんに続くように俺も歩き出す。
そして神永さんとやってきたのは、社長室のある六階から階段を上って更に上にある屋上。
ガチャ、とドアノブについた鍵を開けドアを開けると、目の前には青い空が広がる。
屋上なんて初めて来た……。
びゅう、と吹く冷たい風に煽られながら、神永さんは辺りを見渡しひと気がないことを確認した。
「ここなら人目を気にせず話が出来るだろう」
「屋上なんてあったんですね、知りませんでした」
「あぁ。多分架代社長も知らないだろう。当然、社長室のあるフロアを通らないと来れない場所だから社員も来ることはない」
つまり神永さんだけの秘密の場所だったってわけだ。それを教えてまで話すこと……といえば当然、彼女のことに決まっている。