愛してもいいですか
エレベーターに乗り、やってきたのはビルの中の最上階。六階にある、『社長室』と書かれた部屋。
ガチャリと開いたドアの向こう、静かな社長室の中で私を出迎えるのは、青のストライプ柄のシャツにグレーのスーツを着た栗色の髪の男。
「おかえりなさい。会議お疲れ様でした、架代さん」
ニコッとしたその笑顔に、心が癒される…訳もなく、寧ろ私の顔は女性としてどうなのかと思うほど、怪訝に歪んだ。
にこにこ、ヘラヘラとしたこの男と嫌な顔をする私。
そんな二人がなぜこの部屋に揃っているのか、それは今から一ヶ月半ほど前……七月の半ば頃に遡る。