愛してもいいですか
「半月ほど引継ぎ作業や仕事を教えて、八月から私は英三社長のほうへ異動させていただきます」
「……新しい秘書も、神永くらい出来る人なんでしょうね」
「えぇ、寧ろ私より有望かもしれないです。きっと上手くやれますよ、大丈夫」
神永は一見ツンとして見える切れ長の目でにこりと笑うと、手元の書類をファイルにしまった。
……まぁ、神永が選んだ秘書なら間違いはないんたろうけどさ。
真面目で、どちらかといえば堅物な秘書。私のワガママや要望にもテキパキと応えて、上手くサポートしてくれる。そんな神永に信頼があるのは私も同じで、慣れた秘書から変わるのは嫌だけど彼が選んだ人ならと納得出来てしまう気持ちもある。
そもそもお父さんも、私に直接話がないってどういうこと?また言ったら私がうるさく言うからだろうけど……。