愛してもいいですか
「それに神永さんから直々のご指名でしたしね」
「そもそも神永はどうして日向を選んだの?」
「さぁ?それは神永さん自身に聞いて貰ったほうが一番分かるかと。でも神永さんも、気にかけてましたよ。『誤解されやすい人だから』って」
「え……?」
神永、が?
「『周りは何も知らないで好き勝手言うばかりだ、だからこそ秘書は誰よりも社長を理解してそばにいるべきだ』って、教えられました」
……確かに、神永もよく私のことを分かっていてくれた。
好きなもの、嫌いなもの、考えていること。ただ単に付き合いが長くて、向こうのほうが年上だから理解出来ているんだって思っていたけど、それだけじゃないんだ。
理解したいと思ってくれていた。そしてそれは、今、日向も同じ。
「でも俺自身も、嫌だと思ったことなんてないですよ」
「え?」
「架代さんの側で働けて、楽しいです」
言葉とともに見せた、屈託のない笑顔。それはいつものへらへらとした笑顔とはどこか違う、嬉しそうな、柔らかな笑み。その表情に、心はドキリと音を立てる。