愛してもいいですか



「ひゅ、日向……気付いてたの!?」

「はい。ヒールの音、抑えてるつもりなんでしょうけどバッチリ聞こえてましたから」

「分かってたならすぐ問いただせばよかったでしょ!?」

「いやぁ、頑張って後つけてる架代さんが可愛くて、つい」



つまり、私のバレバレな尾行を楽しんで歩いていた、と……。

へらっと笑う顔に、恥かしいから情けないやら腹立たしいやら……様々な気持ちが込み上げてくる。



「で、どうしたんですか?」

「べっ別に……。秘書が会社の外で変なことしていないか調べてただけよ!」

「変なこと?」

「『本業はホスト』だとか『人妻相手にお金稼いでる』とか、噂聞いたから」



言い訳交じりにぼそ、と白状した私に、日向は一度キョトンと首を傾げると理解したようにふっと笑う。



「あはは、ホストかぁ。そんな噂間に受けて、わざわざ仕事の後に待ち伏せして後までつけたんですか?架代さん、面白いですねぇ」

「なっ……!悪かったわね暇人で!ストーカーみたいって思ったなら引けば!?」



もうほぼ逆ギレに近い。笑われたことに余計恥ずかしさは増し、騒ぐ私にその手は宥めるようにポンポンと私の頭を撫でた。


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