愛してもいいですか
「あーっ、騒いだー!」
それから三時間ほどが経ち、時刻は二十三時半近く。散々騒ぎ『明日も仕事だから』と店を出た日向と私は、二人並んで夜道を歩いていた。
道にはまだ明かりが灯り、にぎやかさが響いている。そんな中、カツカツと歩く私に比べ酔っ払っている日向の足取りはフラフラと少し頼りない。
「大丈夫?結構飲んでたみたいだけど」
「おっちゃんたちと飲んでるとつい飲みすぎちゃうんですよねぇ〜。あ、でもちゃんと架代さんのことはご自宅まで送り届けますんで!」
「いらない。大体あんたの家は上野方面でしょ、私は恵比寿だから逆じゃない」
「そんなこと気になさらずに。女性の夜の一人歩きは危険ですから」
ね、と微笑む表情は、酔っているせいかいつもより目が垂れ少し可愛らしく、ついそれ以上拒めなくなってしまう。
「ああいう居酒屋に通ってるなんて、ちょっと意外。……あと店の人が『女っ気ない』って言ってたのも」
「あはは。女の子は好きですけど、彼女とか作るよりおっちゃんたちと飲んでる方が楽しいですから」
駅までの近道にと一本脇道へ入って行く日向に、後をついていくように歩く。静かなその道は一気に明かりを失くし、街灯だけが道を照らしている。