愛してもいいですか



「でもあの中でも何人か、架代さんのこといいなって言ってる人もいましたよ」

「そうなの?」

「えぇ。美人だし、落ち着いてるし。『結婚したら毎日たい焼き買いにパシリにされますよ』って言ったら『それは嫌だ』って言ってましたけど」

「ちょっと。さすがに結婚相手はパシリにしないわよ」



余計なことを周りに言わないでよ!キッと睨む私に、日向は知らぬ顔で歩き続ける。

でも、『結婚したら』……か。その一言に胸の奥に小さく引っかかるのは漠然と浮かぶ不安。



「……ねぇ、日向」

「はい?」

「私って、結婚出来ると思う?」



それは、いつかは結婚したいと抱く気持ちと、社長である自分の立場。思い浮かぶ、先日の松嶋さんの悲しい顔。

このまま、今のまま、仕事ばかりの私を受け入れてくれる人なんているんだろうか。一人の女として見てくれていると言った彼とその『いつか』を迎えられるんだろうか。

そんな、不安から浮かぶ気持ち。



「そうですねぇ、無理でしょうね」

「は!?」



ところがそんな私に返されたのは、不安を拭う言葉ではなく寧ろ真逆のばっさりとした一言。



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