愛してもいいですか
「架代さん」
「なに?」
突然呼ばれた名前に足を止め、日向のほうを見る。すると日向は先程立ち止まった場所に立ったまま、笑顔で上を指差す。
上……?
その指先が示すまま空を見上げると、そこには夜空一面に星が広がっていた。
「わぁ……!」
冷え始めた空気に澄む、星の光。キラキラ、チカチカと煌めく星に先程までの不機嫌も忘れて目が奪われる。
「すごい、きれい……」
「俺、酒飲むのも好きですけど、帰りにこうやって星を見上げながら歩くのが、好きなんです」
「なんか分かるかも……本当、きれい」
この辺りは道も薄暗いから、より一層星が眩しく見えるのだろう。空を見上げ続ける私に、一歩一歩近づきながら日向がふっと笑う。
「架代さんは、純粋ですよね」
「え?」
「好きなものや綺麗なものを見た時の反応が、すごく分かりやすいです。目がキラキラーッとして、顔もパーッと明るくなって」
「そ、そう?」
「はい、そうなんです」
わ、私……そんなに顔に出ていた?
無意識にとはいえ、日向が見てもよく分かるくらいに顔に出ていたのだろう。恥ずかしさに思わず視線を下に戻すと、そんな私にもまた日向はおかしそうに笑う。