素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
隣に住む残念な男
ああ、暑い。死ぬ……
何が『今年は冷夏でしょう』よ!
気象庁の大嘘つき!
梅雨が明けるやいなや、最高気温が35度以上の猛暑日が連日のように続く毎日。しかも間の悪い事に私の部屋のエアコンが故障し、電気屋さんに修理を頼むもエアコンの設置で忙しいらしく、すぐには来れないと言う。
せっかくの週末だけど、こう暑くては何も出来ない。というか、命の危険すら感じてしまう。こうなったらショッピングモールとか映画館とか、どこか冷房の効いた場所へ出掛けようか。本気でそれを考え始めた時だった。
「おーい、どうした?」
玄関から男の大声が聞こえた。
チッ。あいつか……
その声の調子と馴れ馴れしさから、声の主が誰かはすぐに判った。でも、顔を見るのもイヤな男なので、私は無視する事にした。暑すぎて、動くのも喋るのも面倒くさいし……
その内諦めて行ってくれるだろう、と思ったのだけど、
「おーい、真琴(まこと)ちゃん。いるんだろ? エアコンが壊れたか?」
図星だ。そう言えば、あの男は無駄に頭の回転が速いのだった。
エアコンを効かせられない部屋の中は、信じられないぐらいに暑くなり、無用心なのは承知で私はドアを開けっぱなしにしていたのだ。それを隣の住人であるあいつは察したらしいけど、大きなお世話だ。ほっといてもらいたい。でも……
「大声出さないでよ。みっともない……」
私は仕方なくよろよろと立ち上がり、玄関へ行ってあいつに文句を言った。あいつに大声を出し続けられたら、ご近所さんに恥ずかしいから。
「いたか。それにしてもすげえ恰好だな。真琴ちゃん」
私の姿を見るなり、隣の住人こと阿部和馬(かずま)はそう言って、品のない顔でニヤリと笑った。
何が『今年は冷夏でしょう』よ!
気象庁の大嘘つき!
梅雨が明けるやいなや、最高気温が35度以上の猛暑日が連日のように続く毎日。しかも間の悪い事に私の部屋のエアコンが故障し、電気屋さんに修理を頼むもエアコンの設置で忙しいらしく、すぐには来れないと言う。
せっかくの週末だけど、こう暑くては何も出来ない。というか、命の危険すら感じてしまう。こうなったらショッピングモールとか映画館とか、どこか冷房の効いた場所へ出掛けようか。本気でそれを考え始めた時だった。
「おーい、どうした?」
玄関から男の大声が聞こえた。
チッ。あいつか……
その声の調子と馴れ馴れしさから、声の主が誰かはすぐに判った。でも、顔を見るのもイヤな男なので、私は無視する事にした。暑すぎて、動くのも喋るのも面倒くさいし……
その内諦めて行ってくれるだろう、と思ったのだけど、
「おーい、真琴(まこと)ちゃん。いるんだろ? エアコンが壊れたか?」
図星だ。そう言えば、あの男は無駄に頭の回転が速いのだった。
エアコンを効かせられない部屋の中は、信じられないぐらいに暑くなり、無用心なのは承知で私はドアを開けっぱなしにしていたのだ。それを隣の住人であるあいつは察したらしいけど、大きなお世話だ。ほっといてもらいたい。でも……
「大声出さないでよ。みっともない……」
私は仕方なくよろよろと立ち上がり、玄関へ行ってあいつに文句を言った。あいつに大声を出し続けられたら、ご近所さんに恥ずかしいから。
「いたか。それにしてもすげえ恰好だな。真琴ちゃん」
私の姿を見るなり、隣の住人こと阿部和馬(かずま)はそう言って、品のない顔でニヤリと笑った。
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