素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
「今日はありがとうございました」
私は阿部和馬にペコンと頭を下げ、帰ろうとしたのだけど……
「帰るの?」
「うん」
「まだ暑いよ?」
「え?」
「さっき少し外に出たけどまだ暑かった。部屋の中は熱がこもってんじゃないかなあ」
なるほど、確かにそうかも。窓を開けても熱ってなかなか逃げてくれないのよね……
寝苦しい夜を思ったら、憂鬱な気持ちになってしまった。
「腹減ってるよな?」
「それはまあ……」
言われてから気付いたけど、確かにお腹が空いている。午後から何も食べてないのだから当然だけど。
「俺も晩飯食ってないんだよね。一緒に食わないか?」
「ん……いいよ」
一瞬だけ考えてすぐにオッケーをしたのは、一人で食べる事にいい加減飽き飽きしていた事と、エアコンの魅力からだと思う。たぶん。
「そっか。じゃあ、何か作るわ」
「待って」
「ん?」
「私が作る。今日のお礼に」
立ち上がりかけた阿部和馬に向かい、すかさず私はそう言った。私、料理はそこそこ出来る。涼に食べさせるために自然に覚えたんだ。もしかすると、それが唯一自慢出来る事かもしれない。
他には何一つとして、取り柄のない私の……
私は阿部和馬にペコンと頭を下げ、帰ろうとしたのだけど……
「帰るの?」
「うん」
「まだ暑いよ?」
「え?」
「さっき少し外に出たけどまだ暑かった。部屋の中は熱がこもってんじゃないかなあ」
なるほど、確かにそうかも。窓を開けても熱ってなかなか逃げてくれないのよね……
寝苦しい夜を思ったら、憂鬱な気持ちになってしまった。
「腹減ってるよな?」
「それはまあ……」
言われてから気付いたけど、確かにお腹が空いている。午後から何も食べてないのだから当然だけど。
「俺も晩飯食ってないんだよね。一緒に食わないか?」
「ん……いいよ」
一瞬だけ考えてすぐにオッケーをしたのは、一人で食べる事にいい加減飽き飽きしていた事と、エアコンの魅力からだと思う。たぶん。
「そっか。じゃあ、何か作るわ」
「待って」
「ん?」
「私が作る。今日のお礼に」
立ち上がりかけた阿部和馬に向かい、すかさず私はそう言った。私、料理はそこそこ出来る。涼に食べさせるために自然に覚えたんだ。もしかすると、それが唯一自慢出来る事かもしれない。
他には何一つとして、取り柄のない私の……