素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
「まあ、そういう事にしておくか。で、音をあまり出すなって話だけど、俺はなるべくそうするけど、彼女がなあ。声って勝手に出るものだろ?」


そう言って阿部和馬は、私の顔を見てニヤッと笑った。


「わ、私に聞かないでよ」

「いや、俺よりも真琴ちゃんの方が詳しいと思ってさ。その辺の事は……」

「何言ってんの? そんなの私が詳しいわけないじゃん」

「……えっ?」


私は当然の事を言ったまでなのに、なぜか阿部和馬は驚いた顔をした。しかもふざけた感じではなく、本気で驚いたみたいだ。


「真琴ちゃんって28だよな?」

「歳の事は言わないで。まだ27だし」

9月の誕生日が来ると28だけども。

「まさかだよな?」

「何がよ」


と返しながら、阿部和馬が何を言いたいのか分かった気がする。それはたぶんあの事だ。私自身、結構気にしているあの事。


「まさか、まだ処女って事はないよな?」


あちゃー。やっぱりそれか……

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