素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
イケメン上司現わる
阿部和馬は、上半身裸で首に白いタオルを巻いた姿でベッドに座っていた。さっきも見たけど、特に筋肉質ではないけども、殆ど贅肉のない体をしている。
私は彼の隣に少し間を空けて腰掛け、俯いた。恥ずかしくて、彼の方へは顔を向けられなかった。
「本当に俺でいいのか?」
「いい。あんたで妥協する。あんたこそいいの? 彼女がいるのに……」
「それは構わない。彼女だって……」
「えっ?」
私は思わず顔を上げ、阿部和馬を見た。“彼女だって……”ってどういう事? 彼女も浮気してるって事?
「何でもない。今のは忘れてくれ。頼む」
「う、うん……」
何か事情があるようだけど、阿部和馬はそれを追求してほしくないらしいので、私は聞かない事にした。どうせ私には関係ない話だし。
「あっ」
私は不意に、ある事を思い出した。
「なんだ? やっぱりやめとくか?」
「そうじゃないの。思い出したんだけど、あんた“お前なんかじゃ間違ってもそんな気にならない”って言ったよね?」
そう。阿部和馬が私に部屋に来いと言った時、私が躊躇してたら彼はそう言ったんだ。今考えれば失礼な話だけど、私なんかじゃ当然かな、とあの時は思ったんだ。
私は彼の隣に少し間を空けて腰掛け、俯いた。恥ずかしくて、彼の方へは顔を向けられなかった。
「本当に俺でいいのか?」
「いい。あんたで妥協する。あんたこそいいの? 彼女がいるのに……」
「それは構わない。彼女だって……」
「えっ?」
私は思わず顔を上げ、阿部和馬を見た。“彼女だって……”ってどういう事? 彼女も浮気してるって事?
「何でもない。今のは忘れてくれ。頼む」
「う、うん……」
何か事情があるようだけど、阿部和馬はそれを追求してほしくないらしいので、私は聞かない事にした。どうせ私には関係ない話だし。
「あっ」
私は不意に、ある事を思い出した。
「なんだ? やっぱりやめとくか?」
「そうじゃないの。思い出したんだけど、あんた“お前なんかじゃ間違ってもそんな気にならない”って言ったよね?」
そう。阿部和馬が私に部屋に来いと言った時、私が躊躇してたら彼はそう言ったんだ。今考えれば失礼な話だけど、私なんかじゃ当然かな、とあの時は思ったんだ。