素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
エアコンは直り、またいつもの日常に戻った。

何かの変化を期待する気持ちが私になくはなかったけど、それは独りよがりな考えだと思う。私が痛い思いをして処女を捨てた事は、私にとっては一大事ではあったけど、所詮は私だけの問題で、世間は無関係に時を刻んで行くのだから。

でも、ちょっとした変化ならあった。例えば……


「田村先輩、お化粧してるんですか?」


と、職場の後輩にトイレで言われた。


「してないわよ。どうして?」

「最近の先輩、綺麗と言うか、女らしくなったかなあと思ったんです」

「あらま。それは嬉しいけど、気のせいだわね」

「ですかね……」


チッ。そういう時は、お世辞でも“そんなことないですぅ”って言うものよ!

その子はちょっとオツムは不足気味だけど、素直で可愛い後輩ではある。

そんな、今までにはないやり取りがあったり……


「先輩、新しい係長さん、超ステキですよね!」


という事も、変化と言えば変化かもしれない。

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