素敵な勘違い 〜負け組同士のラブバトル〜
その一言が、後に大変なピンチを招く事に私は思いが至らなかった。曽根崎さんをあそこへ連れて行く事ばかりが頭にあったからだ。男という生き物を甘く見ていた、というのもある。
「君の家? しかし、ご家族が驚くんじゃないかなあ」
「それなら大丈夫です。私はアパートに一人暮らしなので……」
「……なるほどね。それはいいや」
「では急ぎましょう」
私は曽根崎さんの反応をろくに見ずに歩き始めた。もしちゃんと見ていたら、私がとんでもないミスを犯している事に自分でも気付いたと思うのだけど……
私がミスしたのは焦っていたからだ。急がないと、間に合わなくなるから。あと30分ほどしかなかったのだ。阿部和馬が、コンビニの仕事を終えるまで……
電車に乗って二駅。駅を降りてコンビニまで5分として……うん、ギリギリだけど間に合うと思う。
阿部和馬は、私と曽根崎さんを見てどんな顔をするかしら。驚くだろうなあ。そして呆れるかしら。性懲りも無く、またイケメンかよって……
それとも案外、怒ったりして?
なーんて、それはないわね。そんなはずはない。第一、彼にはそんな権利はないんだし。でも、怒ったらいいな……って、ちょっと待て、自分。
なんで阿部和馬に怒ってもらいたいのよ?
意味分からないわ。
元々はイケメンの上司をさも彼氏のようにして阿部和馬に見せつけ、どうせ私は男にもてないだろうと、たかをくくっている彼の鼻を明かす企みだったのだけど、なんだかグチャグチャになってきた。
やっぱり私も、ワインを飲み過ぎたのかしら……
「君の家? しかし、ご家族が驚くんじゃないかなあ」
「それなら大丈夫です。私はアパートに一人暮らしなので……」
「……なるほどね。それはいいや」
「では急ぎましょう」
私は曽根崎さんの反応をろくに見ずに歩き始めた。もしちゃんと見ていたら、私がとんでもないミスを犯している事に自分でも気付いたと思うのだけど……
私がミスしたのは焦っていたからだ。急がないと、間に合わなくなるから。あと30分ほどしかなかったのだ。阿部和馬が、コンビニの仕事を終えるまで……
電車に乗って二駅。駅を降りてコンビニまで5分として……うん、ギリギリだけど間に合うと思う。
阿部和馬は、私と曽根崎さんを見てどんな顔をするかしら。驚くだろうなあ。そして呆れるかしら。性懲りも無く、またイケメンかよって……
それとも案外、怒ったりして?
なーんて、それはないわね。そんなはずはない。第一、彼にはそんな権利はないんだし。でも、怒ったらいいな……って、ちょっと待て、自分。
なんで阿部和馬に怒ってもらいたいのよ?
意味分からないわ。
元々はイケメンの上司をさも彼氏のようにして阿部和馬に見せつけ、どうせ私は男にもてないだろうと、たかをくくっている彼の鼻を明かす企みだったのだけど、なんだかグチャグチャになってきた。
やっぱり私も、ワインを飲み過ぎたのかしら……